神社の稚児様御装束(お子様用狩衣・指貫・前天冠)を製作、お納めしました|装束納品事例
菊理のホームページをご覧いただきありがとうございます。
この記事では、お客様にご納品したお子様用装束をご案内します。滋賀県東近江市鎮座「大郡神社」様の氏子地域自治会様より
「古くなった稚児装束を新調したい」
とのご依頼をいただき、令和5年4月16日の春季大祭に合わせて稚児装束を製作、納品致しました。
「お納めした稚児様装束」
ご依頼
『お子様サイズの狩衣(かりぎぬ)』
これまで神事でお使いの稚児装束は昭和48年製作とのこで、経年による生地全体の傷みと、色褪せが酷い状態でした。また、50年前の仕立てですので、全体的にサイズが小さく、現代の子どもの体型には合わなくなっていました。大郡神社様のお稚児様は、毎年10才前後の地域の子どもが務められるとのことで、現在の平均身長に合わせて製作しました。
お問い合わせくださった自治会長様は、菊理のホームページをご覧になり、薄紫の地色に金紋の狩衣の写真に「これだ!」と、迷わずその生地で仕立てた狩衣を稚児様の御装束としてご指定されました。
よく見る稚児行列の衣装とはまったく違う、上品で優雅な装束に大いにご満足いただきました。
この高貴な薄紫の生地に金色の糸で有職文様を織り込んだ生地は、気品高い雰囲気の装束として菊理の販売する狩衣で一番人気の生地です。これまでも大人子ども、男性女性にかかわらず、多くのお客様にお納めさせていただいています。
『お子様サイズの指貫(さしぬき)』
上着の狩衣同様、袴にあたる「指貫(さしぬき)」も、現代のお子様サイズに調整しました。色はご希望により濃い紫色で仕立てました。
指貫は足首までの切袴(きりばかま)と異なり、長さを自在に調節できます。毎年、稚児役のお子さんが変わっても、サイズ調整が簡単に出来るのでお勧めです。また濃い紫色は上品であること、汚れが目立ちにくいという点でも、長い年月使い続ける装束には最適だと思います。
『烏帽子(えぼし)』
頭にかぶる「烏帽子」は2頭(烏帽子は「1頭(とう)2頭(とう)」と数えます)あり、そのうちの1頭の製作年は装束より更に古く、昭和9年とのことです。当初は烏帽子も新調をお考えでしたが、お預かりし職人に状態を確認したところ
「これはしっかりした作りなので、まだまだ十分使えます。日ごろ丁寧に扱ってみえる様子が窺えますね」との見立て。
自治会役員の方々にお伝えしたところ
「有り難いことだ。では烏帽子はしばらくこのまま使っていこうか」とのことで、そのままご返却いたしました。
本当にしっかりした作りで、当時の職人さんの技術に感心しました。
『前天冠(まえてんがん)』
昨今問題となっている日本の少子高齢化は神事にも影響を与えており、これからは稚児様も男子に限定するというわけにはいかなくなっているとのこと。
「さしあたり今年の稚児は男子が務めるが、近い将来、女子が稚児様を務めることになると思うのでこの際、女子の稚児様用に烏帽子に変わる、かぶり物を用意しておきたい」とのことで、菊理の提案から「前天冠」のご依頼を頂きました。
②の比較写真でお分かりのように、お子様向けの前天冠は大人用の標準品と比べて小ぶりに製作しています(同年代の子どもの頭周りに合わせて製作しました)。そしてこの前天冠には、季節に応じた可愛らしい造花を着けることが多く、春には桜や藤、秋には菊花や竜胆(りんどう)などを挿します。
基本的に前天冠には金色と銀色があり、金色の前天冠は太陽のような華やかなイメージを表し、銀色の前天冠は月光のような、しっとりとした美しい雰囲気を持ちます。
今回は大郡神社様の晴れやかな春の大祭にふさわしく、金色の前天冠に桜花を添えてお納めしました(写真①)
お客様より頂いた写真
お客様より大祭当日のお稚児様のお写真を頂きました。端正で可愛らしいお稚児様をどうぞご覧ください。
大郡神社の創建は不明ですが、奈良・平安時代にはこの地区の郡役所である「大郡」の中心地であったらしく、周囲には大きな建物が計画的に建てられていました。広い境内と壮麗な社殿がこの神社の古い歴史を物語っているようです。
自治会長さま、役員の方々には大変お喜びいただき、私どもも美しいお稚児様の姿を拝見して、とても嬉しく思います。
ご依頼ありがとうございました。
菊理はお稚児様の装束のご相談を承っております。お子様の体格に合わせて製作しますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
お子様やお孫様の誕生日や記念日、七五三などに「他の子とは違う”本物の装束”」はいかがですか。
お子様の体格に合わせて、オーダーメイドで一着一着丁寧に仕立てます。
そしてお子様用の装束は、手入れや保管の簡単な化繊の生地がお勧めです。
化繊生地とは言え、機織りは正絹生地と変わらぬ工程で織られ、文様(生地の模様)も伝統ある有職文様を織り込んでいます。
そのように丁寧に織られた装束生地を、日本の装束職人が、真心込めて丁寧に仕立てますのでご安心ください。
本格的なお子様用装束は、祭礼や神事用の稚児衣装から舞台衣装まで幅広く対応致します。
「装束がほしいけど、何をどのように注文して良いか分らない」という方のために「色柄」「仕立て方」などの細かな希望や「ご予算」を親切丁寧にお伺いして「あなただけの一着」をお仕立てします。
装束は専門用語が多く、分かりづらいことも多いかと思います。
メールなど、文字や文章ではニュアンスが伝わらなかったり、誤解や思い違いなども起こりやすいので、
お電話や、Zoom、LINEなどのオンラインでもご対応させて頂きます。
できるだけ専門用語を使わず、どんな小さなご質問でも、何回でも、とことんお答えします。
ぜひお気軽にお問い合わせください。
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