ビューティーコンテスト日本代表ナショナルコスチューム「袿装束」の製作、納品事例|十二単オーダーメイドの流れ①
菊理のホームページをご覧いただきありがとうございます
2024年5月シンガポールで開催されたビューティーコンテスト世界大会に日本代表として出場されたお客様から、「ナショナルコスチューム」としてオーダー頂いた「袿装束」の、企画から納品までを数回に分けてご案内します
平安装束のオーダーメイドの流れと併せてご紹介しますので、どうぞご参考にご覧ください
「ぜひとも “日本代表” として伝統ある十二単で出場したい!」
「世界へ日本の美しさを発信したい!」
5月の世界大会に合わせて装束を新調したいとのご連絡を頂いたのは、2023年も押し迫った12月の下旬のことでした
「お納めした袿装束とオーダーメイドの流れ①」
① お打ち合わせ(オンライン)
十二単に代表される平安装束は工場で作る大量生産品ではなく、全てがオーダーメイドです。まずはお客様がどのようなシーンや用途で着用したいのかを丁寧にお伺いします。菊理にお問い合せくださるお客様は、十二単に長年憧れ特別な想いを抱かれている方がほとんどです。お客様の夢やこだわりなどをなるべく忠実に再現できるよう、会話の中からお客様の持つ装束のイメージを推測し、生地の色や柄、仕立て方などのご提案を重ねながら、出来上がる装束のイメージを共有します
通常、装束はご注文後3ヶ月程の納期を頂いています。お客様のご要望を伺い打ち合わせを進めていきますと、最初のお問い合せからご納品まで半年程度かかることは珍しくありません。ですが今回はリミットが4月下旬。大至急進めなければなりませんが、もう2023年も終わろうとしています。もう一刻の猶予もありませんのでオンラインでのお打ち合わせをご提案し、早速翌日に第一回目の打ち合わせの運びとなりました
今回のお客様にとってのこだわりは
● ” 日本代表 ” として本物の伝統装束で日本らしさをアピールしたい
●コスプレのような「なんちゃって」な衣装は問題外!
●過去の日本代表の衣装には、着物ドレスに派手な帯リボン、ハイヒールといった着物をアレンジして組み合わせたような衣装が多く見受けられるが、違和感がある
世界大会という場で海外の審査員に日本らしさをアピールするにはどんな衣裳が良いのか悩まれていた時、菊理のインスタグラムを見て「より日本らしい衣裳は十二単だ!」と思われたとのこと。
しかし「五衣唐衣裳(いつつぎぬからぎぬも)」正式な十二単は確かに豪華で華やかですが
●着付けスタッフを付けられず、一人で着なければならない上に着付け時間に制限がある
●控室や着替えスペースにも制限がある中で一人で十二単を着られるか?
●十二単は重さ10㎏以上の装束。さらに裳を引いた状態でランウェイを歩けるか?
●世界大会には装束(ナショナルコスチューム)以外に、ドレスや装飾品など多数の携行品があるため装束だけにウェイトがかけられない
などお客様のご希望やコンテスト内容、さまざまな条件をお伺いした結果
●一人で着られる「袿(うちぎ)装束」
●西洋のティアラを連想させる日本古来の「天冠(てんがん)」
●華やかな「檜扇(ひおうぎ)」
というスタイルをご提案させて頂きましたところ、お客様もすぐに同意してくださいました
また、ドレスに負けない「きらびやかで色がハッキリと鮮やかな色柄の装束」とのご希望をいただきましたが、オンライン上では色のニュアンスや生地の質感などが伝わりません。そこで実物の袿装束で色柄や質感を確かめ、着用してステージ上で思ったように動けるのか、装束が当初イメージしていたものと違っていないか、など諸々を確認して頂くため年明け早々に袿装束を試着いただくことになりました
② 試着、生地選び
十二単、袿装束など、平安装束には既製品はありませんので、まず赤色、桃色、水色、紫色、白色、緑色など、さまざまな色柄の生地見本をご覧いただきながら、実際に生地にさわって質感も確かめていただきました
「派手なドレスに負けない、パッと印象に残る鮮やかな美しさ」が一番の目的ですので
●遠い場所からでもハッキリと鮮やかな色はどれか
●お客様の肌や髪の色を引き立てる色使いはどれか
をまずは検討しました
たくさんの色柄の中から1つを決めるのは意外に難しいものです。袿だけでなく単衣との色の組み合わせをどうするか、お客様のお好みはもちろん、私どももアドバイスさせていただきながら一緒に選んでいきました
カラーコーディネートを悩み、考えるのは楽しく装束の醍醐味の一つではあるのですが、残念ながら今回はゆっくり時間をかけて考える余裕はあまりありません
そして「ランウェイを歩いてパフォーマンスが出来るのか?」も今回の大きなポイント。
実際に2種類の袿、単衣、長袴をご試着いただきランウェイを歩くイメージで動いていただいたところ
「意外に軽くて、これならきれいに歩けそう」
「こんな本格的な衣裳は、海外の人はもちろん日本人でも見た事が無いから印象に残るわね!」
と大変お気に召していただき、順調に試着体験は進みました
③ 小物選び「檜扇(ひおうぎ)」
檜扇は平安装束に欠かせないツールの一つ。
「ランウェイでのパフォーマンスに檜扇を使いたい」
「檜扇を使った舞はどんな動き方をしますか?」
とのお尋ねから檜扇の持ち方、檜扇を持った上での装束姿での歩き方、檜扇を使った舞の舞い方などをご指導しました
檜扇も装束生地のように色や絵柄の種類が多いため、ホームページ掲載動画などを参考に選んでいただきました
♦檜扇についてはこちらのページをご覧ください ♦
④ 小物選び「天冠(てんがん)」
大会当日にはロングヘアーのウィッグを着けるとのことで、黒髪にぴったりの「天冠(てんがん)」もご用意したところ、一目でお気に召していただきました。落ち着いた銀色の天冠よりも、より華やかな金色の天冠をご要望になられました
⑤ ひとりで着られる「着付け方法」の指導
世界大会本番では着替える時間が短く控室も狭い上に共用とのことで、一人で素早く脱ぎ着が出来るよう、着付けのレッスンをしました。正式な着付け方法とは異なりますが、菊理はお客様の着装する用途や目的など諸条件によって、それに見合った着付け指導を致します
タイムリミットが迫る中、お客様はとても好意的に対応してくださり初回からハードな打ち合わせも順調に進み、ご納得のご様子に、菊理もホッと一安心。お客様の中では、概ねイメージが出来上がったようです
▼試着ではさまざまな角度や距離からお写真をお撮りし、判断の参考にしていただきます
あとは今回の試着体験、打ち合わせを踏まえた上で
●袿の生地の色と柄
●袿の裏地の色
●袿と組み合わせる単衣の色
●袴の色と長さ
●檜扇の彩色(絵柄)
など多くの事を納期に間に合うよう、早急に決めてご連絡頂くこととなりました
今回の記事は「ナショナルコスチューム」としてオーダー頂いた「袿装束」のご依頼から試着体験までご紹介しました。次回「オーダーメイドの流れ②」 もぜひご覧ください!
全国でもめずらしい十二単のオーダーメイド販売
お客様のお好きな色柄で
日本の職人が1つ1つ心を込めて製作いたしますのでご安心ください
平安装束は工場の大量生産品ではないオーダーメイド品です
菊理はお客様がどんなシーンや用途で着たいのかを丁寧にお伺いします
十二単に長年憧れ、特別な想いを抱かれているお客様は少なくありません
夢やこだわりなどをなるべく忠実に再現できるよう、お客様との会話から生地や色柄、装束の仕立て方法などをご提案し、出来上がり装束のイメージを共有します
本格的な十二単から軽くて動きの楽な袿装束、
お子様用装束から舞台衣装まで幅広く対応致します。
「装束がほしいけど、何をどのように注文して良いか分らない」という方のために「色柄」「仕立て方」などの細かな希望や「ご予算」を親切丁寧にお伺いして「あなただけの一着」をお仕立てします。
装束は専門用語が多く、分かりづらいことも多いかと思います
メールなど、文字や文章ではニュアンスが伝わらなかったり、誤解や思い違いなども起こりやすいので、
お電話や、Zoom、LINEなどのオンラインでもご対応させて頂きます
できるだけ専門用語を使わず、どんな小さなご質問でも、何回でも、とことんお答えします
ぜひお気軽にお問い合わせください
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