雅楽楽器「笙」洗替調律事例⑦「高い音が出にくい」「出ない音がある」時は菊理にご相談ください

菊理のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。

菊理は雅楽楽器の購入やメンテナンス、修理、日頃のお手入れに関するご相談も承っていますが、今回の記事では「高い音が出にくい笙の洗替調律」についてご紹介いたします。

ご相談内容

笙はとてもデリケートな楽器です。修理やメンテナンスは菊理にお任せください

先日、お客様より「高い音が出ない、出にくい音がある」というご相談をいただき、白竹(しらたけ)の本管の笙をお預かりいたしました。

大変丁寧に扱われているのが伝わってくる美しい笙でしたが、詳しく内部を拝見したところ、思わぬ原因が見つかりました。

『そもそも笙の音の鳴る仕組みって?』解説

雅楽楽器「笙」の分解写真(知識と技術の無い方は決して分解しないでください)

笙は、黒いおわんのような部分(=頭:かしら)に17本の竹が差し込まれています。現代の笙は17本の竹管のうち、2本は音が鳴らない構造になっているのですが、残りの15本の竹管の根元(根継:ねつぎ)に「響銅(さはり)」という金属製の「簧(した:リード)」が付けられていており、このリードが振動することによって、あの笙独特の澄んだ綺麗な音が鳴るのです。

状態診断

今回の不調の大きな原因は、演奏後の温め不足によるリード(簧)に塗られている「青石(しょうせき)の剥がれ」にありました。

笙は非常に繊細な楽器です。演奏後、内部に溜まった水分をしっかり飛ばすための「温め(乾燥)」が不足していると、残った湿気が原因で青石が硬くなり、剥がれ落ちてしまうことがあります。

特に高い音を受け持つリードは振動が繊細なため、わずかな青石の欠損でも、音の立ち上がりが悪くなったり、全く鳴らなくなったりしてしまいます。

今回はリードが錆びているという症状は見当たりませんでしたが、乾燥が足りないとリードが錆びてしまい、音が出なくなってしまいますので、演奏後の温めは特に重要です

修理・調整内容

竹管の根元(根継)とリード部分の拡大写真

笙専門の楽器職人が、専用の工具と工程を用いて洗替・調整を実施。今回は、全てのリードを一度取り外して洗浄する「洗替(あらいがえ)」を行い、改めて青石を塗り直す調律を施しました。

全音を個別に確認しながら、

  • 古くなった青石の除去
  • リードの微調整と洗浄
  • 最適なバランスでの青石の塗り直し
  • 各リードの音程調律

これらの工程を経て、本管特有の芯のある、透き通った和音が再び響くようになりました。

長く良い状態を保つための重要ポイント

どんなに大切に扱っていても、笙にとって「湿気」は最大の天敵です。

演奏前はもちろん、演奏後もしっかりと炭火や電熱器などで温め、内部の水分を完全に飛ばしてから片付けるようにしてください。温める目安は最低15~20分ほど。丁寧にしっかり行うのがコツです。


違和感を感じた時点で、専門職人による点検・調整を行うことが、楽器を長く良い状態で保つための重要なポイントです

  • 音が出にくい
  • 出ない音がある
  • 息漏れがする
  • 空鳴りする

こんなお悩みの方はぜひご相談ください。笙は和音の美しい優美な楽器ですがとてもデリケート。日常的なお手入れと、定期的なメンテナンスを心掛けましょう。

修理事例ご紹介

笙の不具合にはさまざまな原因があります。その他の事例をご紹介しますので、ぜひ下記リンクをご覧ください。

「遺品の古い笙」修理事例
あたため方に問題あり
「笙の竹が折れてしまった」事例
2枚舌のプラ菅
本番まで1ヶ月しかない
自分で補修したが鳴りにくい

菊理は使われなくなった雅楽楽器や衣裳の買取りもしています。
お買取りした楽器や装束の一部は、子ども向け雅楽教室の体験用楽器、装束に使用しています。眠ったままの雅楽楽器や装束などでお困りの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。本管はもちろん、プラ管も買取りいたします。

雅楽菊理
文化庁「文化芸術による子供育成総合事業」協力芸術家
古物商許可証番号:愛知県公安委員会 第543952103200号