古楽器「笙」修理事例:遺品の古い笙
菊理は雅楽楽器の購入やメンテナンス、修理についてのご相談も承っています。
「親戚から形見として古い笙を受けたのですが、修理できそうでしょうか?」
という一本のお電話をいただきました。
「笙が入っていた袋はボロボロで捨ててしまったんですが、笙の方は、修理して音が出るようになるのなら、お世話になった方の形見なので、もう一度楽器としてよみがえらせたいんです」
とのご相談です。
本来であれば直接お会いして、楽器を拝見しながらお話をしたいのですが、
コロナによる緊急事態宣言中ということで、
オンライン(お客様のご希望によりZOOMにて対応)で、できる限りの状態確認をしました。

修理したいという笙をモニター越しに見せていただきながら、どのような状態かを伺い、その様子から、古い笙によくある故障(音が鳴らない)原因の数々を解説しつつ、この笙の想像できる現状をご説明しました。
その上で、「より詳しい症状の診断をお願いしたい」とのお客様のご要望により、楽器を当方へ送っていただきました。
送られた笙を拝見すると、一見、姿の美しいきれいな笙でしたが、状態確認のため分解したところ、
全体に材質の老朽は否めず、笙の命とも言えるリードも、紛失や破損が見られ、特に劣化が著しく酷い状態であったのは根継ぎ部分でした。
笙という楽器は定期的に演奏とメンテナンスをしていないと、経年劣化が着実に進みます。
この笙も、いつの頃からか、ずっと仕舞われ、存在すら忘れられていたとのことでしたので、劣化がひどくなってしまったのだと思われます。
▷楽器修理についてのお問い合わせはこちら>>「お問い合わせ」

ひと通り状態の確認をしたところで、早速お客様に再びオンラインで、お預かりした笙の現状をご説明しました。
・悪い部分とその状態
・傷みの原因
・修理した場合の概ねの金額
・新しい笙を新規購入した場合のお値段
などのご説明と、概算金額をご提示しましたところ、
「せっかくご先祖様が残してくれた笙なので、修理できるものなら修理したい」
と、正式なご依頼をいただきました。
今回はかなり手の込んだ、大がかりな修理となることから、
楽器職人とは、しっかり細かな打合せをし、
多少時間がかかってでも、丁寧に修理にあたってもらえるよう、依頼しました。

楽器職人さんの苦労の末、半年ほどの日数はかかりましたが、
再び楽器として、見事によみがえらせることが出来ました。
▷楽器修理についてのお問い合わせはこちら>>「お問い合わせ」

最終検品し、再度オンラインで修理内容や状況のご説明、今後の使用上のご注意などを
お伝えしましたところ、大変お喜び頂き、ひと安心できました。
また、お客様のご要望により、
美しくよみがえった笙にふさわしい、豪華な金襴袋にお納めしてご納品致しました。
笙は和音の響きが繊細で美しく、
澄んだ音色が命の楽器ですが、
反面、とてもデリケートな楽器ですので、
日常的なお手入れと、定期的なメンテナンスを心掛けましょう。

菊理は「笙」「篳篥」「龍笛」「高麗笛」「神楽笛」「羯鼓」「楽太鼓」「鉦鼓」「楽琵琶」「楽箏」「和琴」など、
あらゆる雅楽楽器の販売や修理、購入にあたってのご相談を承っています。
対面でのご相談をためらわれる方や、ご遠方で往来が難しい方には、
オンラインでのご相談をお受けしています。
(Zoom、LINEビデオ電話などお客様のご希望に対応します)
「本当にオンラインですべて出来るの?」
「修理を断るかもしれないけど、相談だけでもいいのかな?」
お任せください!
ご相談は無料です。
雅楽歴45年の豊富な経験で、あらゆるご相談にお応えします。
メンテナンスや修理にかかる「価格」や「期間」については、
お預かりする楽器の状態により変わりますので、
まずはお気軽にお問い合わせください。
また、菊理は中古雅楽器の買い取りもしておりますので、中古雅楽器の売却をご希望の方もどうぞご相談ください。
雅楽二重奏「菊理」近藤泰史
(古物商許可証番号:愛知県公安委員会 第543952103200号)