雅楽楽器「笙」洗替調律事例⑦「高い音が出にくい」「出ない音がある」時は菊理にご相談ください
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菊理は雅楽楽器の購入やメンテナンス、修理、日頃のお手入れに関するご相談も承っていますが、今回の記事では「高い音が出にくい笙の洗替調律」についてご紹介いたします。
内容
1. ご相談内容
2. 『そもそも笙の音の鳴る仕組みって?』解説
3. 状態診断
4. 修理・調整内容
5. 長く良い状態を保つための重要ポイント
6. 修理事例ご紹介
ご相談内容

先日、お客様より「高い音が出ない、出にくい音がある」というご相談をいただき、白竹(しらたけ)の本管の笙をお預かりいたしました。
大変丁寧に扱われているのが伝わってくる美しい笙でしたが、詳しく内部を拝見したところ、思わぬ原因が見つかりました。
『そもそも笙の音の鳴る仕組みって?』解説

笙は、黒いおわんのような部分(=頭:かしら)に17本の竹が差し込まれています。現代の笙は17本の竹管のうち、2本は音が鳴らない構造になっているのですが、残りの15本の竹管の根元(根継:ねつぎ)に「響銅(さはり)」という金属製の「簧(した:リード)」が付けられていており、このリードが振動することによって、あの笙独特の澄んだ綺麗な音が鳴るのです。
状態診断
今回の不調の大きな原因は、演奏後の温め不足によるリード(簧)に塗られている「青石(しょうせき)の剥がれ」にありました。

笙は非常に繊細な楽器です。演奏後、内部に溜まった水分をしっかり飛ばすための「温め(乾燥)」が不足していると、残った湿気が原因で青石が硬くなり、剥がれ落ちてしまうことがあります。
特に高い音を受け持つリードは振動が繊細なため、わずかな青石の欠損でも、音の立ち上がりが悪くなったり、全く鳴らなくなったりしてしまいます。
今回はリードが錆びているという症状は見当たりませんでしたが、乾燥が足りないとリードが錆びてしまい、音が出なくなってしまいますので、演奏後の温めは特に重要です。
修理・調整内容

笙専門の楽器職人が、専用の工具と工程を用いて洗替・調整を実施。今回は、全てのリードを一度取り外して洗浄する「洗替(あらいがえ)」を行い、改めて青石を塗り直す調律を施しました。
全音を個別に確認しながら、
- 古くなった青石の除去
- リードの微調整と洗浄
- 最適なバランスでの青石の塗り直し
- 各リードの音程調律
これらの工程を経て、本管特有の芯のある、透き通った和音が再び響くようになりました。
長く良い状態を保つための重要ポイント
どんなに大切に扱っていても、笙にとって「湿気」は最大の天敵です。
演奏前はもちろん、演奏後もしっかりと炭火や電熱器などで温め、内部の水分を完全に飛ばしてから片付けるようにしてください。温める目安は最低15~20分ほど。丁寧にしっかり行うのがコツです。
違和感を感じた時点で、専門職人による点検・調整を行うことが、楽器を長く良い状態で保つための重要なポイントです。
- 音が出にくい
- 出ない音がある
- 息漏れがする
- 空鳴りする
こんなお悩みの方はぜひご相談ください。笙は和音の美しい優美な楽器ですがとてもデリケート。日常的なお手入れと、定期的なメンテナンスを心掛けましょう。
修理事例ご紹介
笙の不具合にはさまざまな原因があります。その他の事例をご紹介しますので、ぜひ下記リンクをご覧ください。
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