気品高い松竹梅の檜扇、紫色地に三色向蝶丸文の小袿、萌黄色の単衣|装束納品事例
菊理のホームページをご覧いただきありがとうございます。
菊理のホームページでは、お客様にご納品した装束や持ち具、調度品などの数々を、一例としてご案内しています。
今回この記事では、お客様にお納めさせて頂いた、平安時代の高貴な女性の装束「小袿」と「単衣」、そして平安女性に欠かせない「檜扇(ひおうぎ)」をご紹介します。
Kimono of aristocratic women in medieval Japan “Kouchigi”
Women’s costumes in the Tale of Genji
「お納めした小袿、単衣、檜扇」
ご依頼
『小袿(こうちぎ)』とは
そもそも「小袿」とは、位の高い女性が準正装として羽織る上着で、普通サイズの袿よりも身丈を短く、全体に小ぶりに仕立てたものを言いました。そうすることにより「袿」と「小袿」の表地の色柄の違い、またそれぞれの「おめり(裏地)」の色の組み合わせなど、平安時代の高貴な人々は装束コーディネートを楽しんでいました。
しかし近世より小袿は「袿と同じ形式(大きさ、寸法)」のもので、表の生地と裏の生地(” おめり ” と呼びます)の間に「中陪(なかべ)」という別の生地を挟み込み、三重にして仕立てたのものを指すようになりました。菊理は「小袿をご要望されるお客様」には、その違いをご説明した上で、どちらの「小袿」をご希望されてみえるか確認し、ご注文をお受けしています。
おめりと中陪の2色にどの色を選ぶかで、見た目の印象がまったく変わってきます。この色選びが装束を仕立てる最大の楽しさかもしれません。
おめりや中陪は袖口や襟、すそから1cm程度ほんの少ししか見えていない部分ですが、下の写真のように全体像を眺めると案外存在感がありますね。全体の印象に大きく影響する部分ですので、迷うのも当然です。
●可愛らしい印象にしたい
●上品でクラシカルな感じが好き
●はっきりした鮮やかな印象にしたい
●舞台や写真映えするような色使いにしたい
菊理はお客様がどんな雰囲気にしたいか、どんなシーンで着たいか、好きなイメージがあるか等、ていねいにお打ち合わせを重ねて「お客様だけの装束」をお仕立てします。
文様(もんよう)は白色、萌黄色、薄桃色、三色の蝶が向かい合った優美な「向蝶丸文(むかいちょうまるもん)」。古くから女性に大変好まれた文様です。
・名称:小袿
・表地:紫色の生地に三色の向蝶丸文
・裏地:桃色
・中陪:白色
【表地の生地には同じシリーズで地色が赤色、白色、萌黄色、薄桃色があります】
『単衣(ひとえ)』とは
小袿の下に着る単衣は少ししか見えませんが、全体の印象をまとめるカラーコーディネートの重要アイテム。小袿が紫色ですので紫色と反対色の萌黄色を合わせることでお互いの色を引き立てる効果があります。小袿の紫色も単衣の萌黄色も単品で見れば落ち着いた色ですが、この二色を組み合わせることで ” 鮮やかさ ” が生まれ、あか抜けた上品で優美な印象を与えます。
『檜扇(ひおうぎ)』とは
そもそも「檜扇」とは、ヒノキの薄い板を末広がりに編み綴った日本発祥の扇です。日本では古来より、女性は人前に出る時は顔を隠すのがエチケットと考えられていました。奈良時代には「はしば」という団扇(うちわ)の一種を使っていましたが、平安時代中期頃から男性が使っていた檜扇を女性も使い始めたと言われています。
「松竹梅」は日本を代表する古典吉祥柄です。手描きで精緻に描かれた檜扇は、日本の伝統技術の結晶とも言えるでしょう。
美しい着姿、所作、たたみ方のご指導
菊理は装束の着方、たたみ方、その他お客様が装束を着る目的、ご要望に応じてさまざまなご助言、ご指導をさせていただいています。直接お会い出来ない場合はオンラインでレクチャーも可能です。
今回のご指導
・優雅に檜扇を開く動き方(所作)
・しなやかに檜扇を閉じる動き方(所作)
・一人で後ろ姿も美しく着る方法
・小袿や単衣のたたみ方
・普段の収納方法
などをご指導させていただきました。
菊理が通常お客様にお勧めする装束は化繊生地ですが、機織りは正絹生地と変わらぬ工程で織られ、文様(生地の模様)も伝統ある有職文様を織り込んでいます。そのように丁寧に織られた装束生地を、日本の装束職人が、真心込めて丁寧に仕立てますのでご安心ください。
「装束がほしいけど、何をどのように注文して良いか分らない」という方のために「色柄」「仕立て方」などの細かな希望や「ご予算」を親切丁寧にお伺いして「あなただけの一着」をお仕立てします。
装束は専門用語が多く、分かりづらいことも多いかと思います。
メールなど、文字や文章ではニュアンスが伝わらなかったり、誤解や思い違いなども起こりやすいので、
お電話や、Zoom、LINEなどのオンラインでもご対応させて頂きます。
できるだけ専門用語を使わず、どんな小さなご質問でも、何回でも、とことんお答えします。
ぜひお気軽にお問い合わせください。
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