60年以上前、お祖父様が手作りした子ども用檜扇を修理 ~七五三へ受け継がれる家族の宝物~|桧扇修理事例⑧
菊理のホームページをご覧いただきありがとうございます。
菊理は神社で使われる桧扇以外にも、美術工芸品として製作された「檜扇(ひおうぎ)」の修理のご相談も承っております。今回は子ども用の檜扇のご相談についてご紹介します。

東京都のお客様より、子ども用檜扇2面の修理をご依頼いただきました。
お話を伺うと
「この檜扇は60年以上前に、舞台小物の職人であったご依頼人様のお祖父様が、私(ご依頼人様であり当時はお祖父様の孫)のために一つひとつ手作りで製作してくれた特別な檜扇なのだ」
とのことでした。
「今度は自分の孫の七五三で、この檜扇を持たせてあげたい。」
その想いからご相談をいただきました。
※檜扇は1面(めん)と数えます
内容
通常よりひと回り以上小さな、希少な子ども用檜扇

今回お預かりした檜扇は、一般的な檜扇よりひと回り以上小さく仕立てられた子ども用サイズ。
幼いお子様の手にも持ちやすい大きさでありながら、造りは本格的です。
片面には松・梅・鶴などの吉祥文様、裏面には紅梅・桜・あやめをはじめとする四季の花々が、一枚一枚の板に大変精巧に描かれていました。
また、35橋・36橋という細く薄い檜板が、美しく綴り合わされており、職人技の高さが随所に感じられる作品でした。
※檜扇の薄い板は1橋(きょう)と数えます
修理内容
「今年の七五三に間に合えばよいので急ぎません。愛知へ行く機会がありますので、一度現物を見ていただけませんか。」
とのご連絡をいただき、後日、実際に修理依頼品の檜扇を拝見しました。
- 要(かなめ:扇をとじる金具)が緩み、ぐらついている
- 綴じ糸が切れている箇所がある
- 金具が錆び、緑青が発生している
ことを確認し、修理方法と概算費用をご説明しましたところ、ご納得いただき、正式にご依頼をいただきました。
修理前

綴じ糸が切れています。


金具が錆びて緑青が発生しています。
修理後
今回の修理では、
- 2面とも綴じ糸をすべて解いて綴じ直し調整
- 新しい要(金具)に取り替え(2面とも)
- 飾り紐取り付け金具の取り替え(2面とも)
を行いました。
約1か月半をかけ、檜扇本来の美しい姿へと蘇らせることができました。



お祖父様の想いを次の世代へ

60年以上前に、お祖父様が当時の孫(ご依頼主様)のために作られた檜扇。
そして今その檜扇が、さらにお孫様へと、時代と世代を経て受け継がれようとしています。
世代を超えて受け継がれる手仕事には、何ものにも代えがたい価値があります。
今年の七五三では、美しく蘇った檜扇を手にされたお孫様の晴れ姿をご家族皆様でご覧になり、天国のお祖父様もきっと目を細めておられることでしょう。
菊理では、檜扇をはじめ、神社や舞踊で使用される伝統装束・祭具の修理も承っております。
大切な思い出の品を、次の世代へ受け継ぐお手伝いをさせていただきます。
ご相談について
菊理は、対面でのご相談やお話を大切にしております。メールや文字だけのやり取りでは、誤解や行き違いが生じることも少なくありません。
そのため、直接お会いするのが難しい場合には、ZoomやLINE動画を利用したオンラインでのお打ち合わせをおすすめしています。なるべく専門用語を使わずご説明させていただきますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
【禁】画像等の無断転載、無断使用は固く禁じます


