雅楽楽器「笙」洗替調律事例⑧「10年吹いていない笙」「押さえていないのに鳴る」そんな時は菊理にご相談ください

菊理のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。

菊理は雅楽楽器の購入やメンテナンス、修理、日頃のお手入れに関するご相談も承っていますが、今回の記事では「指を押さえていないのに音が鳴る笙の洗替調律」についてご紹介いたします。

ご相談内容

笙はとてもデリケートな楽器です。修理やメンテナンスは菊理にお任せください

「10年以上吹いていない笙を取り出してみたところ、指を押さえていないのに音がたくさん鳴ってしまう(※空鳴りする)」

このようなお問い合わせをお客様よりいただきました。

まずは現在の状態を把握するために、全体や匏(ほう=頭:かしら)のアップなど、できるだけ多くのお写真のご提供をお願いしたところ、

「一度直接見てほしい」とのご希望をいただき、弊社のある愛知県・豊橋市内にて拝見することになりました。

※空鳴り(からなり)の説明は次項「笙の音の鳴る仕組み」をご参照ください

『そもそも笙の音の鳴る仕組みって?』解説

雅楽楽器「笙」の分解写真(知識と技術の無い方は決して分解しないでください)

笙の外見は、黒いおわんのような部分(匏:ほう・頭:かしら)に17本の細い竹が差し込まれており、伝説の鳥「鳳凰」が羽を閉じて休んでいる姿を表していると言われています。現代の笙は17本の竹管のうち、2本は音が鳴らない構造になっているのですが、残りの15本の竹管の根元(根継:ねつぎ)に「響銅(さはり)」という材料から切り出した金属製の「簧(した:リード)」が付けられていており、このリードが振動することによって、あの笙独特の澄んだ綺麗な音が鳴るのです。

(笙が鳴る仕組みはとても複雑なので、これ以上の詳しい説明をご希望の方は個別レッスン(対面もしくはオンライン)か、千里の雅楽ワークショップでご質問ください)

今回、修理のご依頼をいただいたそもそものきっかけは、本来鳴ってはいけない音がなってしまうという「空鳴り(からなり)」という症状があったからでした。

状態診断

当日お持ちいただいたのは、当初のご相談分1管と「念のため点検してほしい」というもう1管の計2管。
拝見したところ、1管は比較的安価と思われるプラ管の笙でしたが、もう1管は風格漂う煤竹の本管で、空鳴りするのは煤竹本管の方でした。

まずは笙を分解しながら、お客様に笙の構造や鳴る仕組みなどを丁寧にご説明します。

2本とも大切に保管されていたようで、匏の破損、竹の割れや折れ、簧(リード)の欠損欠品といった致命的な損傷はありませんでした。しかし、概ね5年以上メンテナンスが行き届いていない笙は、リードに塗布された青石の剥がれや固着、リードを接着している蜜蝋の劣化による不具合など、歳月の積み重ねによる傷みが各所に見受けられました。

お客様には、「蓄積された汚れや狂いを取り除き、本来の音色を取り戻すには、通常よりも時間をかけた工程(洗替・調律)が必要になります」とお伝えしたところ、菊理の丁寧な説明ご納得いただき、大切な笙を私どもに快くお預けくださいました。

楽器職人による確認で判明した“名品”の価値

お預かりした笙を専門の楽器職人が詳細に点検したところ、驚くべき事実が判明しました。

特に本管の方は素晴らしい出来栄えで、簧(リード)を詳しく調べたところ、かつて名人として名を馳せた職人の手によるものと推察される逸品で、特徴のある竹の組み方からも、また、依頼主とこの笙を製作した職人との間を取り持った人物からも、ほぼ間違いないことが分かったのです。

また、プラ管についても状態は良好で、こちらの笙も本来プラ管では使われないような珍しい竹で組み上げられており、適切な洗替・調律を行えば、どちらも本来の美しい響きを取り戻せるとの見立てでした。

両管ともに、慎重かつ丁寧に洗替・調律などのメンテナンスを実施。

結果として、

  • 音の立ち上がりが改善
  • 不要な空鳴りの解消
  • 全体の響きの安定

など、大きな変化が見られました。

お客様の声

ご納品後、お客様からは

「とても演奏しやすくなり、むだな空鳴りもなくなり、気持ちよく演奏できます」

とのお言葉をいただきました。

長期間使用していない笙もご相談ください

笙は繊細な楽器であり、使用していなくても、徐々に状態が悪くなって行きます。使用していない期間が長くなればなるほど状態は悪化しますので、楽器として保有するのであれば、使ってなくても定期的に適切な手入れが必要です。

・久しぶりに吹いてみたら音がおかしい

・状態が分からず不安

といった場合も、どうぞお気軽にご相談ください。余程状態が悪くなければ、多くの場合、適切なメンテナンスによって本来の音色を取り戻せます。

また、菊理は使われなくなった雅楽楽器や衣裳の買取りもしています。
買取りした楽器や装束の一部は、子ども向け雅楽教室の体験用楽器、装束に使用しています。眠ったままの雅楽楽器や装束などでお困りの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。本管はもちろん、プラ管も買取りいたします。

子ども向け雅楽体験の様子

子ども向け雅楽教室や体験会など、次世代を担う子どもたちに向けての雅楽普及という趣旨をご理解いただける方からの、善意による雅楽楽器等の寄贈については、大変ありがたくお受けしますので、どうぞご一報ください。よろしくお願い申し上げます。

修理事例ご紹介

笙の不具合にはさまざまな原因があります。その他の事例をご紹介しますので、ぜひ下記リンクをご覧ください。

「遺品の古い笙」修理事例
あたため方に問題あり
「笙の竹が折れてしまった」事例
2枚舌のプラ菅
本番まで1ヶ月しかない
自分で補修したが鳴りにくい
高い音が出ない

雅楽菊理
文化庁「文化芸術による子供育成総合事業」協力芸術家
古物商許可証番号:愛知県公安委員会 第543952103200号