「秋の地方祭に間に合わせたい」浦安の舞の桧扇修理「扇の開きが悪い」「綴じ糸切れ」|桧扇修理事例⑤
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菊理は神社で使われる祭礼用品・調度品の販売や修理のご相談を承っております。今回は祭祀舞「浦安の舞」で使われる檜扇の修理のご相談をご紹介します。

そもそも桧扇とは、複数のヒノキの薄板を糸で綴じた扇で、千年以上前の平安時代に誕生した日本発祥の扇子です。現在では、神社において巫女が「浦安の舞」などの祭祀舞を舞う時に使います。
しかし日常的に神楽舞や祭祀舞で使用していると、次第に傷みや不具合が出てくることがあります。
たとえば――
- 綴じ糸が切れた
- 松飾りが取れた
- 持ち手の金具(要:かなめ)が壊れた
- 桧の板が割れた
- 飾り紐が切れた
- 彩色が剥がれた
こうした破損や劣化は、実は決して珍しいことではありません。
更に、多くの神社の祭礼では地域の子どもたちが舞姫として舞を奉納することが多いため、こうした道具の扱いに慣れない子どもたちが練習で繰り返し使ううちに、思わぬ故障や破損が生じてしまうことも少なくありません。
お客様のご依頼内容

- 綴じ糸がところどころ切れてしまっている
- 扇の開きが悪い
- コロナ以前から中断していた祭礼での浦安の舞を再開することになったがお祭りまで1ヶ月もないが間に合うか?
お問い合せのメールをいただいたのは9月の初頭、
お祭りは10月初旬とのことで、通常1~1.5ヶ月ほどかかる桧扇の修理では、早急な対応が必要でした。
細かな修理費用については、実物を拝見しないと正確な修理費用と納期は出せない旨をお伝えし、概算費用をご案内したところ、
「一度現品をお送りして確認いただくのがベストと考えます。早速送ってもよろしいですか?」とご返信をいただきました。
その4日後、桧扇が弊社に到着。すぐに修理箇所を確認した上で職人さんに期限までに間に合わせられるかを確認し、職人さんの了承を得て正式なお見積りをお伝えしたところ、
「お願いします」とのご依頼をいただき、さっそく修理作業に取りかかりました。
修理内容
修理前


お預かりした2面の桧扇は、ところどころ綴じ糸が切れ、ご自身で補修された跡がありました。
しかし、表側に糸の結び目が目立ってしまっていたり、使用時に少し気になる状態でした。

不自然な糸の結び方の影響で、桧扇の開きも悪くなっていました。扇がなめらかに開閉できない状態では、舞の所作にも支障が出てしまいます。
修理後

まずは綴じ糸をすべて解き、正しい手順で一から綴じ直しました。糸の通し方や張り具合は、桧扇の開きやすさ・見た目の美しさを左右する重要な工程です。

専門の扇職人が一本ずつ丁寧に糸を通し、開閉の具合を確かめながら調整していきました。
檜扇の綴じ糸修理について
檜扇は、一ヶ所でも綴じ糸が切れてしまうと、全ての糸を外し、新たに糸を綴じ直す必要があります。
もともと檜扇の絵柄は、完成した檜扇の上から彩色を施しているため、修理で綴じ糸を交換した場合、その上に再び色を重ねることはできません。そのため、修理後の檜扇の綴じ糸は白いままとなります。
(絵柄は桧扇の完成品の上から彩色しますので、綴じ糸修理の場合は糸の上に色を乗せることは出来ません)
今回の修理の概要

- 修理内容:桧扇の糸の綴じ直し、扇の開閉の調整
- 納期:1ヶ月
- 四国地方の神社で使用される檜扇2面
◆桧扇修理事例ご紹介
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ご相談について
菊理は、対面でのご相談やお話を大切にしております。メールや文字だけのやり取りでは、誤解や行き違いが生じることも少なくありません。
そのため、直接お会いするのが難しい場合には、ZoomやLINE動画を利用したオンラインでのお打ち合わせをおすすめしています。なるべく専門用語を使わずご説明させていただきますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
「檜扇の綴じ糸が切れてしまった」「金具が壊れてしまった」「ヒノキ板が割れてしまった」「糸飾りが切れた」「松飾り(造花)と飾り紐の色が褪せた(汚れた)ので取り替えたい」「お祭りまで日が迫っている」など、檜扇や舞扇のことは菊理にお任せください。
また「神楽鈴」「剣鈴」などの修理も承っております。「鈴が取れてしまった」「五色布が破れてしまった(色が褪せてしまった)ので新しくしたい」など、どうぞご相談ください。
できるだけ専門用語を使わず、どんな小さなご質問でも、何回でもお答えします。
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