華やかな赤色地に三色向蝶文の袿をお納めしました|装束納品事例
菊理のホームページをご覧いただきありがとうございます。
このホームページでは、お客様のためだけに特別にお誂えした装束や調度品など、特別な一点物の逸品の数々を、商品の一例としてご案内しています。
今回は、お客様のご要望に合わせてお仕立てし、お納めした平安時代の高貴な女性の装束「袿(うちき)」をご紹介します。

Kimono of aristocratic women in medieval Japan “Kouchigi”
Women’s costumes in the Tale of Genji
内容
1. 『小袿(こうちぎ)』とは
2. 「赤色地三色向蝶文の袿」詳細
3. お客様のお声
そもそも『袿(うちき)』とは
今から千年前の平安時代、貴族女性の普段着だった着物(装束)が「袿(うちき・うちぎ)」です。着心地がとても軽やかで快適な衣裳です。
☆「袿」は「うちき」「うちぎ」の二通りの呼び方をされますが、専門家の方々もその方によりそれぞれの呼び方をされたり、書籍などのふりがなも著者によりそれぞれなことから、菊理はどちらの呼び方も間違いではないと考えます。その上で、二通りの呼び方が混在することでの混乱を招かないよう、この記事では「うちき」としています。

写真は2024年NHK大河ドラマ「光る君へ」で主人公まひろ(紫式部)が着ていた「袿」です。自宅で幼い娘をあやす場面でも登場しました。宮仕えをしなかった大多数の平安時代の貴族女性は「袿」を着て一生を過ごし、フォーマルウエアである十二単を着ることはなかったようです。
「赤色地三色向蝶文の袿」詳細

袿にはさまざまな色柄がありますので、まずはお客様のお好みやご要望を丁寧にヒアリングします。
今回のお客様は「こんな雰囲気がいいな」というイラストをお持ちでしたので、ご予算に合わせてイメージに近い色柄の袿生地と、それに合わせる中陪・おめり(裏地)の生地見本をお送りし、お選びいただきました。
「おめり」「中陪(なかべ)」詳細

袿を仕立てる楽しみの1つに「色のコーディネート」があります。おめり(裏地)、中陪は襟元、袖口、裾などからほんの少ししか見えませんが、色使い次第で印象がガラッと変わる重要なパーツです。
今回のお客様は「かわいらしい雰囲気がお好き」とのことで、鮮やかな赤色や、いろいろなニュアンスや濃さの桃色の生地をチョイスし、生地見本としてお送りしました。
お送りした生地見本の中から
・おめり:濃い桃色
・中陪:薄い桃色
を選ばれました。
その後、LINEのビデオトークでお打ち合わせを重ねながら製作を進めました。
お客様のお声

今回のお客様は「透かし織り単衣(薄紫色)」を3年ほど前にご購入くださっています。
その単衣の上に、今回お仕立てした袿を重ねていただくと、軽やかでとても優雅な雰囲気になりそうですね。

薄紫から濃い桃色、淡い桃色、そして鮮やかな赤色へと続く色の重なりは、華やかさの中にもかわいらしさと上品さが感じられる、ほんとうに美しい配色です。
後日これらの装束を着用したお写真を撮影されるご予定とのことですので、私どももそのご様子を拝見できる日を心から楽しみにしています。このたびは菊理に装束の製作をご依頼いただき、ありがとうございます。
菊理が通常お客様にお勧めする装束は化繊生地ですが、機織りは正絹生地と変わらぬ工程で織られ、文様(生地の模様)も伝統ある有職文様を織り込んでいます。そのように丁寧に織られた装束生地を、日本の装束職人が、真心込めて丁寧に仕立てますのでご安心ください。
「装束がほしいけど、何をどのように注文して良いか分らない」という方のために「色柄」「仕立て方」などの細かな希望や「ご予算」を親切丁寧にお伺いして「あなただけの一着」をお仕立てします。
装束は専門用語が多く、分かりづらいことも多いかと思います。
メールなど、文字や文章ではニュアンスが伝わらなかったり、誤解や思い違いなども起こりやすいので、
お電話や、Zoom、LINEなどのオンラインでもご対応させて頂きます。
できるだけ専門用語を使わず、どんな小さなご質問でも、何回でも、とことんお答えします。
ぜひお気軽にお問い合わせください。
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