雅楽楽器、衣裳、楽曲編成の解説付き「静岡浅間神社」での令和7年新春奉納演奏①|静岡雅楽教室生徒の披露演奏サポート
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令和7年1月19日(日) 静岡県静岡市「静岡浅間神社」様にて雅楽教室の生徒さんを引率し、毎年恒例の「新春奉納演奏」を行いました。

菊理では雅楽教室の生徒さんたちの練習成果発表の場として、1年間に3回ほど演奏発表会を開催しています。目標や目的が有るとモチベーションが上がり、練習にも張り合いが出ます。
今回の奉納演奏には「静岡葵教室」「湘南教室」「愛知豊橋教室」の各教室から、総勢10名の生徒さんが参加しました。

そもそも「静岡浅間神社」は「神部(かんべ)神社」「浅間(あさま)神社」「大歳御祖(おおとしみおや)神社」という三社の総称で、舞殿は神部神社、浅間神社を望む大拝殿と楼門の間に位置する社殿中、唯一の素木造りの建造物です。
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奉納演奏
静岡浅間神社は「二十年かけての化粧直し」と称し平成令和の大改修中で、楼門は3年に亘る年月を経て、令和2年に一足先に創建当時の美しさを取り戻していますが、静岡浅間神社シンボルとも言える大拝殿は現在も保存修理中。外観は工事足場と幕で覆われており、内部も改修中で昇殿しての参拝もできません。

そのため奉納演奏に先立っての正式参拝は大歳御祖神社でさせていただきました。参拝後には宮司様より直々のご挨拶を賜り、思いがけない出来事に恐縮しつつも責任の重さを感じました。
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そして舞殿に移動しての奉納演奏となり、雅楽古典曲2曲と祭祀舞「浦安の舞」を奉納演奏させていただきました。演奏後、神社の神職様からも「多くの参拝客の皆様方も、大変喜んでおられました。お疲れさまでした」と、お喜びの言葉と労いのお言葉をいただき、生徒さん共々、無事奉納演奏を終えられたことに、一同安堵しました。

<演奏曲>
- 平調 越殿楽(ひょうぢょう えてんらく)
- 平調 五常楽急(ひょうぢょう ごしょうらくのきゅう)
- 祭祀舞 浦安の舞(さいしまい うらやすのまい)

1曲目の「越殿楽」は雅楽曲の中でも1番有名な曲で、中学校の音楽の教科書にも掲載されています。小雨交じりの天候でしたが、みやびな雅楽の音色に多くの方が足を止めて聴き入っておられました。

祭祀舞「浦安の舞」は、平和を祈って昭和天皇が詠まれた御製「天地に神にぞ祈る朝なぎの海のごとくに波たたぬ世を」を元に、当時宮内省楽長だった多忠朝(おおのただとも)師が作曲振付した神楽舞です。

演奏者一同、今年1年の安寧と平安を祈り、謹んで演奏を奉納させていただきました。
※御製とは:歴代の天皇が詠んだ和歌
雅楽楽器、衣裳、楽曲編成のご紹介
奉納演奏「越殿楽」「五常楽急」は、雅楽のジャンルの中では「管絃(かんげん)」に属します。管絃は「楽器による合奏」を表し、本来は管楽器以外に打楽器・絃楽器が加わりますが、今回は管楽器のみの演奏スタイルで演奏しました。
鳳笙(ほうしょう)


鳳笙は「天空から降りそそぐ光」を表すと言われ、神秘的な和音が魅力の古楽器です。合奏の中では多彩な和音を奏で、きらびやかな音色は平安時代の女性作家・清少納言は「枕草子」で ” 月の明るい夜に牛車に乗っていたら、ふと聴こえてきた笙の音色が趣があって良かった ” と述べています。
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篳篥(ひちりき)


篳篥は「地上に暮らす人間の声」を表すと言われ、ダイナミックな音色が魅力の縦笛です。合奏の中ではメインメロディを演奏し、雄大で力強い音色を奏でる楽器ですが、前述の清少納言は枕草子で「秋に鳴くクツワムシのようでうるさいわ」と述べています。あまり上手ではない篳篥奏者だったんでしょうかね。
龍笛(りゅうてき)


龍笛は「天地を翔ける龍の鳴き声」を表すと言われ、繊細で優美な音色が魅力の横笛です。合奏の中では篳篥の音色に沿いながらも、きらびやかな音色を奏で、清少納言は ” 龍笛は音色はもちろん、笛の姿もすてき ” と絶賛しています。


演奏発表会では「狩衣(かりぎぬ)」という千年前の平安時代の貴族が着ていた衣装を着て演奏します。衣裳を着ることで「非日常」を楽しめますし、モチベーションも上がりますね。


菊理のレンタル装束(有償)で出演する生徒さんの多くは、回を重ねるごとに自分だけの「マイ狩衣」を持ちたくなるようで、装束も取り扱う菊理から、思い思いの気に入った色柄の狩衣をオーダーし購入する方が少なくありません。
※菊理は狩衣や十二単などの時代衣裳の販売もしていますのでこちらのページ もご覧ください
「浦安の舞」編成
「浦安の舞」は昭和15年に作られた近代神楽の一つで、編成は雅楽楽器の伴奏にて奏唱し、舞人が舞う楽曲で全国の神社で奉納されています。
舞姫(まいひめ)・神楽笛(かぐらぶえ)

「浦安の舞」は *一帖「扇の舞」*二帖「鈴の舞」が正式な形ですが、今回は「鈴舞」のみを奉納しました。神楽笛は45㎝ほどの細長い横笛で神楽歌の伴奏に使用します。雄大な音色の龍笛と比べ、清らかで神秘的な音色が神楽笛の特徴です。
*雅楽曲は一番、二番ではなく「一帖」「二帖」と表します
歌方(うたかた)


”天地の神にぞいのる朝凪の (あめつちの かみにぞいのる あさなぎの)
海のごとくに波たたぬ世を (うみのごとくに なみたたぬよを)”
歌方は、昭和天皇御製のこの和歌に歌詞が付いた旋律を全員で斉唱します。
笏拍子(しゃくびょうし)・篳篥(ひちりき)

笏拍子は雅楽楽器の打楽器の一つで打つと「パシッ」と鋭い打撃音を発します。歌方のリーダーは歌いながら笏拍子を打ち、歌唱のリズムを取ります。また篳篥は神楽笛と同じく歌の伴奏を担当します。
装束(衣裳)の解説
千早装束(ちはやしょうぞく)

浦安の舞は正式には十二単のように裳を長く引いた「本装束(ほんしょうぞく)」ですが、今回は略装の「千早装束」です。千早には菊花や松鶴文様の青摺入りもありますが、古式ゆかしき舞殿での奉納ですので無垢で清浄な白一色の千早を羽織りました。
構成:千早、緋袴、白衣、髪飾り(丈長、熨斗)、神楽鈴
狩衣装束(かりぎぬしょうぞく)

狩衣は平安時代の貴族がカジュアルウエアとして着ていた普段着ですが、現在は神主さんや雅楽の演奏者が着ています。大きな衣裳ですがとても軽快で動きやすく、色柄のバリエーションも豊富で菊理の生徒さん達は好きな色柄を選んで着用しています。
構成:狩衣、袴、白衣、烏帽子

菊理は生徒さん達の演奏発表と技芸上達を願い、毎年1月(もしくは2月の旧正月頃)に寺社仏閣で奉納演奏を行っており、今年も大勢で和やかに演奏発表ができました。千理の演奏発表会でユニークなところは
「雅楽が出来なくても参加できる」「エアー演奏 ОK」!
なぜ楽器が出来なくても参加できるのか?! その秘密はぜひ『雅楽ワークショップ千里 』へ確かめにお越しくださいね。
雅楽レッスンのご案内
菊理は生徒さんの目的やライフスタイルに合った多彩なレッスンをご用意しています

◆プライベートレッスン(対面)
自分のペースで習いたい方、ご自宅はもちろん公共施設や神社様やお寺様など、ご希望の場所へ全国へ出張いたします

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お友達と一緒に、親子で、少人数から大人数までご希望の場所へ全国へ出張いたします
※自社自坊で専属の伶人、楽人を育成されたいとお考えの神社様、お寺様はぜひご相談ください

♦オンラインレッスン(Zoom、LINE)
自宅や自分の好きな場所で、好きな時間にパソコンやスマホ、タブレットで簡単に受講できます
(Zoom、LINE動画にて対応)

◆雅楽ワークショップ
笙(しょう)篳篥(ひちりき)龍笛(りゅうてき)の体験や記念撮影ができます
雅楽ワークショップは菊理がプロデュースする雅楽団体千里が主催しています
菊理は多くの方に、楽しく安心して雅楽に親しんでいただけるよう
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文化庁「文化芸術による子供育成総合事業」協力芸術家
雅楽二重奏「菊理」