鞨鼓の音がにぶい、澄んだ音が出なくなった/鞨鼓の皮の張替え修理|雅楽楽器の修理相談事例

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菊理は、雅楽楽器の購入やメンテナンス、修理についてのご相談も承っています。このたび鞨鼓(かっこ)の鼓面(皮)の
張替えをご依頼いただきましたのでご案内します。「最近、鞨鼓の音がにぶくなった」「ベコっとした音に変わった」そんな方は今回の記事を参考に、ぜひお気軽にご相談ください。

そもそも「鞨鼓」は雅楽の演奏の中では指揮者の役目を受け持つ重要な楽器です。

美しく彩色された木製の胴を鉄輪に馬の皮を張った二枚の鼓面で挟み、調緒(しらべお)という革紐で締めるという「締太鼓(しめだいこ)」に分類される打楽器です(「鞨鼓」は「羯鼓」とも書きますが、ここでは「鞨鼓」と表記します)。

鞨鼓は木製の台に横置きに乗せ、紫檀という高級な材料で作られた二本の撥(バチ)で両側から打つのですが、年月が経つと皮の締りがゆるくなり劣化していきます。こんなことはありませんか?
・以前のような、澄んだ「コンコン」という音が出ない
・「ベコッ」とか「ポコッ」という、にぶい音がするようになった

鞨鼓の修理」事例

「鞨鼓が2台あるが、張替えが必要かどうか、楽器診断してほしい」

1台は、昭和16年製のようで購入した当時のまま。現在はほとんど使っておらず大切に保管されているとのことですが、大きな祭事を控え、使う必要ができたとのことです。もう1台は30年程前に購入し、月に1~2回ほど演奏使用しているが大きな祭事を控え、最近音が鈍くなってきたので皮の張替えや修理が必要かどうか、古い鞨鼓も併せて診断してもらいたいとのご相談でした。

お預かりし状態診断したところ、古い方は80年ほど経つのにもかかわらず、彩色も楽器状態もとても良好で、職人さんも「良い使い方をされていたんですね」とビックリ顏。「今回の祭事にお使いになられるだけでしたら、(鼓面)張り替えはしなくても、調整だけで大丈夫ですよ」と職人さんの嬉しい太鼓判。

お客様には状態をお伝えし、このままお返ししました。

もう1台は「よくお使いですね。こちらは調整だけでは難しいですね」とのことで
1.お客様に現在の状態の説明
2.修理金額と納期

これらをなるべく専門用語を使わず丁寧にご説明したところ、「今後も長く使い続けたいので修理してください」と修理をご依頼頂きました。

この鞨鼓の彩色は、今ではあまり見ない珍しい意匠で「良い仕事をされていますね。」と職人さんも熱心に見入っておられました。台座の漆塗りもとても上質で、「今ではこんな、素晴らしい仕事をする職人さんも少なくなりました」。

楽器を見れば、大切に扱われているのがよく分かります。今回の鞨鼓は皮を張替りかえたことで、澄んだキレイな音色を再び響かせてくれるようになりました。このたびは鞨鼓の修理をご依頼いただき、ありがとうございました。

雅楽二重奏「菊理」
文化庁「文化芸術による子供育成総合事業」協力芸術家

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